学名:Eriosyce curvispina var. tuberisulcata
=Eriosyce curvispina
=Horridocactus tuberisulcata
=Neoporteria horrida
和名:エリオシケ・トゥベリスルカータ 魁壮玉
産地:チリ (Valparaiso)
株状態:海外実生株
サイズ:球径2.5cm強(子株を含めると3cm強)、高さ(鉢上)1.5cm強
管理期間:約2年半
鉢:シリンダーポリストーン(底穴)
説明:
ベランダ整理のためEriosyce属(エリオシケ属)を出します。本属は、国内では一部の種を除いて、なかなか入手難な種も多いかと思います。サボテンについては同梱対応しますので、取引メッセージでご連絡ください。
南米のEriosyce属(エリオシケ属)は、もともとEriosyce、Pyrrhocactus、Horridocactus、Islaya、Neochilenia、Neoporteria、Thelocephala、Chileorebutia等に割れており、所属する種の移動も激しい状態でしたが、1994年F.
Kattermanにより、これら全てがEriosyce属に統合する説が提唱されました。同じ種が色々な属名で売られているのは、このためです。現在までも、この考え方は概ね支持されており、遺伝子解析の結果もこの概念を支持していますので、当面はEriosyce1属主義が続くでしょう。
また、種レベルの同定も特徴が掴みづらく、札落ちした株の同定は苦労することもしばしば。開花しないと判然としないものが、かなりあります。残念ながら、国内外のナーセリーで売られている株にも、一定数誤同定が混ざっていますので、油断できません。
分類学的な混乱も甚だしく、何百ものシノニム(同物異名)で消えた種名や亜種名、変種名、品種名があり、どの種がどの種のシノニムなのかを調べるのが一苦労で、勿論まともな日本語の解説文献もありません。このため各種の正体を調べようとすると、何本もの海外学術文献を読み解かないと、その実態については掴めません。ここが本属のとっつきにくさかと思いますし、国内でイマイチ流行らない理由の一つかもしれません。一方で、ヨーロッパ圏では、それなりに人気のある種群として趣味家の間で収集されており、書籍上やネット上でも、あーでもないこーでもないと、様々な解釈に関する議論が尽きません。ハマると抜け出せない一種の沼で、なかなか楽しそうです。
また、シックでバランスの良い球体の姿と、大振りでありながら派手すぎない絶妙なカラーの花は特筆に値するかと思います。地域や個体によるバリエーションも多いことから、同地域に生育する大人気のCopiapoa属とは、また違った魅力があるかと思いますし、殆どが中小型なこともあり、日本の住宅事情にも優しいかと思います。
本種は、独立種として新種記載されましたが、その後にcurvispinaの変種または亜種とされてきました。広域分布種のcurvispinaの中で西海岸沿いのValparaiso周辺に分布しています。昔から比較的知られている、Neoporteria horridaまたはPyrrhocactus
horridusは、本種のシノニムとなります。最近では、tuberisulcata自体もcurvispinaのシノニムとされている事が多いですが、遺伝子解析により様々な種が復活してきていますので、今後どうなるかといったところでしょうか。
姿は柱状~樽状で、環境の厳しい地域では匍匐状や多頭株になり、地色は暗褐色~紫色~暗緑色と変異があります。また、地中には小さめの塊根を形成します。棘は本属でも屈指の極太棘となり、概ね明褐色~灰色となります。花は、ややオレンジを感じるピンク色~ピーチピンクや黄色まで変異のある、大振りの花弁となります。
本株は小型の部類となり、約2年半前に海外から入手して管理してきています。なお、子株が3つ頭を出して分頭しています。curvispina群は比較的大型化するので、これからが楽しみな株かと思います。